天皇制批判の常識
天皇制廃止論者である著者は、しかし憲法9条改憲論者であり死刑存置論者でもあり、いわゆる「左翼」ではない。人は生まれによって差別されるべきではない、という考えとのことだ。日本国憲法下では日本国民ではない天皇・皇族に基本的人権や男女平等を求めることすら意味をなしていないとも。熱烈な天皇制支持派の人達は、万世一系を維持するための側室制度の復活には懐疑的であるが、伝統を重んじるのであれば側室制度こそ天皇制を支えてきた伝統ではないのか、と。いま現在のこの国で天皇制について否定的な意見を語ることはタブー視されがちである。例えどんな意見であれ言論の自由は尊重されるべだと思う。そういう意味でこうした主張の本が出版され書店に堂々と並び販売されている、ということは少なくとも言論の自由のないどこかの共産主義国より平和であると僕は思う。
<「天皇制批判の常識」 小谷野敦著 洋泉社新書>